管理職の仕事は組織が決定因|中途採用の管理職経験者が機能しない理由

悩める管理職

管理職とは何をする仕事なのか。

ただ漠然と管理職と言っても答えは見つかりません。一言で管理職と言っても、多種多様だからです。

ですから、あなたの会社で管理職が求められていることと、別の会社で求められることは必ずしも同じではありません。

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組織で決まる管理職の仕事

管理職(かんりしょく)とは、労働現場において、労働者を指揮し、組織の運営に当たる者を指す。wiki)ウィキペディアの冒頭にこう簡潔に記されています。

組織には必ず目的があり、その目的が業務の遂行、業務の完遂にあることから、管理の対象は人ではなく、業務であることは、過去記事 ¶ 管理職が上手く機能しない理由|管理の対象は業務であり、人ではないで、敷衍ふえんしました。

さて本題です。管理職に求められる役割が、等しく業務遂行、業務完遂にあるのにもかかわらず、どうして管理職の仕事が同じにはならないのでしょうか。

管理職を挟む二種類の人々

簡単に言えば、管理職を取り巻く環境が異なるからです。管理職は基本的に、二種類の人々に挟まれています。

  • 管理職の管理対象である業務を遂行する人々
  • 管理職が率いる組織の目的を決定する人々

二種類の人々とは、この二つの纏まりです。前者は一般には部下と呼ばれ、後者は一般に上司と呼ばれる場合が多いでしょう。

板挟みは中間管理職だけではない

二種類の人々に挟まれているというのは、中間管理職ばかりではありません。その為に少々回りくどい表現を採りました。中間管理職でなくとも、オーナー経営者兼管理者でもない限り、二種類の人々に挟まれる状態は避けられないことを一般的に表現したかったのです。

管理職が率いる組織の目的を決定する人々とは、中間管理職であれば、その上司です。上級管理職であれば、経営者が該当するでしょう。

一存では決められないという事実

ここで重要なことは、管理者が、全てを自分の一存で決めることはできないということです。オーナー経営者兼管理者でもない限りと断ったのは、経営者であっても、会社所有者の意向があるからです。

仕事の決定因子

つまり、管理職の責務であり、管理対象である組織の円滑な業務遂行に当たって、常にこの両者間の調整が付いて回ります。そして両者との関係性が、管理職の業務自体を決定すると言っても過言ではありません。

具体例を見てみましょう。

水準レベルで変わる目標

先ずは管理職の管理対象である業務を遂行する人々に構成される組織との関係性から見ていきましょう。

管理対象である組織との関係性

組織・職場の水準は、大きく二つに分けられます。

  • どうやるかが問題となる職場
  • どうやらせるかが問題になる職場

この二つです。過去記事 ¶ どうやるかが問題となる職場とどうやらせるかが問題になる職場 で詳しくお話ししました。

士気モラールが高く能力も高い構成員メンバーからなる組織では、業務遂行に当たって、どのように業務遂行すればより付加価値の高い仕事ができるかが管理職だけでなく、組織構成員メンバーの関心事です。

一方で、放っておけば、仕事を投げ出してしまう怠慢な構成員メンバーからなる組織では、如何に仕事をさせるかが管理職の関心事となります。

どうやるかが問題となる職場では、組織からより付加価値の高い効率的な方法を導き出せば、自ずとそれが遂行される運びとなるでしょう。一方で、どうやらせるかが問題となる職場では、仮に付加価値が高くより効率的な方法があったとしても、その通りに実行されることは担保されません。即ち、効率的なやり方が分かっていたとしても、楽ができる方法、手抜きが頻発するのです。

異なる役割期待

管理職に求められる仕事は、どうやるかが問題となる職場では、謂わばコンサルタントの役割です。業務の遂行は組織構成員メンバーですが、十分に関与コミットし最適なやり方を見い出す。そして、何か問題が発生したら、課題として認識し、解決を図るということです。

一方で、どうやらせるかが問題となる職場では、謂わば見張り或いは監視役です。仕事が緩慢にならないように、手抜きをしないように見張る、或いは見張る代わりの手立てを考えることです。

ところで、第一義的には仕事内容が大きく異なるのですが、どうやらせるかが問題となる職場といえども、怠慢な組織を所与の条件として、効率的なやり方を考えるという仕事はできることを付け加えておきます。

仕事はあなたのもの

多くの場合、どうやらせるかが問題の職場では、管理職もそこまで踏み込める資質と能力を持った人材であることは少ないかもしれません。ところが、経験豊富で優秀な人材が、転職でどうやらせるかが問題となる職場に入り込んだとした場合、見張り役に甘んじることはないのです。

仮にあなたがそのような状況に迷い込んだとします。

怠慢な組織を所与の条件とした上で、課題解決を図るのは、どうやるかが問題となる職場で職務を遂行する以上に困難を伴います。しかしながら、困難さにかまけて、才能の出し惜しみをすることは、あなたの為になりません。

仕事とは制約条件下で最高価値を提供することであることを過去にお話ししています。正にそれが当てはまる場面ではないでしょうか。(¶ 仕事は金儲けではない!

ここまでは、管理職が挟まれる二種類の人々の内の「管理職の管理対象である業務を遂行する人々」との関わりについてです。

ここからは、「管理職が率いる組織の目的を決定する人々」との関わりについてお話ししましょう。

「管理職」との関係性

これまでお話ししてきた管理職は、管理職としてのあなた、或いは管理職になるあなた、であったり、管理職になるかもしれないあなた(以下、管理職としてのあなた)を想定しています。

「管理職」

何故、わざわざ断りを入れたかと言いますと、これからお話しする管理職としてのあなたが対峙する管理職(以下「管理職」)は、管理職としてのあなたが成るべき管理職とは限らないからです。

実態的には「管理職」と言っても様々です。そんな現実に存在する管理職と呼ぶことに違和感を覚えるような管理職[従事者]をも含めて「管理職」と呼びます。

ですから、ここに「管理職」とは、ただ単に管理職と呼ばれる職位にいる人と理解してください。そして、あなたが目指すべき管理職実態としての「管理職」をきちんと区別して読み進めてください。

管理職であるあなたが関わる、「管理職が率いる組織の目的を決定する人々」は、「管理職」である上司が典型的でしょう。仮にあなたが上級管理職で経営陣と直接やりとりする場合だったとしても、本質はそう大きくは変わりません。ここで重要なことは、あなたにもたらされる指示・命令・情報の質です。

コミュニケーションの質

あなたの上司からもたらされる指示・命令・情報は、あなたが任されている組織に対し、あなたが伝達する指示・命令・情報が的確なものになるかどうかを決定づけます。

会社決定の背景や指示・命令の持つ意味、意義が的確に伝わり理解できるのと、ただ単に指示・命令が届くのとでは大きな違いがあります。

朝令暮改

コンテクストが伝わらず、単に指示・命令内容だけが届くのも問題ですが、しばしば見られる朝令暮改、酷さを揶揄した朝礼朝改なんて言葉まで聞いたことがありますが、指示・命令が脈絡なく変わることはもっと深刻な問題です。

あなたの上司である「管理職」が朝令暮改で、あなたがそのまま組織に流しているとすれば、組織は混乱するでしょう。そして早晩、あなたは組織からの信頼を失います。

信頼関係のいしずえ

信頼関係を結んで業務を遂行する為には、滞りなく意思の疎通を図ることが礎となりますが、その礎を欠いているからです。

一方で、あなたの上司である「管理職」が、管理職の職責をきちんと理解し、きちんとした意思決定をした上で、伝達事項が流れて来れば、あなたは、それをきちんと理解した上で、組織に流すことができます。

上司との意思の疎通に問題があれば、それを改善するのもあなたの管理職としての仕事となります。コミュニケーションの問題が大きければ、コミュニケーションを成立させることが管理職の仕事の中で大きな比率を占めるようにすらなるでしょう。従って、管理職であるあなたの仕事は、「管理職」である上司次第で、変わってくると言うことです。

管理職の仕事内容を決定するもの

管理職の管理対象である業務を遂行する人々次第であなたの仕事が変わってくるのと同じ意味で、管理職が率いる組織の目的を決定する人々次第でも仕事が変わってきます。

朝令暮改の上司の下で、あなたがきちんと管理職の職責を全うしようとすれば、上司にきちんとした情報伝達を促すと同時に組織へは可能な限り一貫性のある、或いは一貫性が無いならば一貫性が無い理由を説明し、納得した上で、仕事に取り掛かれるよう努力しなければなりません。

厳密に言えば、この場合も先にお話しした通り、組織が、どうやるかが問題となる職場であるのか、どうやらせるかが問題になる職場であるかによって変わってくるでしょう。

どうやるかが問題となる職場では、きちんとした意思の疎通が組織安定の鍵であることは言うまでもありません。

ところが、どうやらせるのかが問題になる職場では、きちんとした理解というものが存在するのかどうかすら疑わしいと言えるかもしれません。

経営とはなんとかやりくりすること

優良な職場ばかり経験していると、随分と乱暴な物言いに感じられるかもしれませんが、現実に現場と接点を持って、妥協点をどこに置くのかを探ることは殊の外重要です。

人はきちんと膝を突き合わせて話せば、必ず相互理解できるなどの哲学や信念は尊いですが、現実には訳の分からないといった形容が相応しい組織集団もあります。

仕事も制約された条件下でなんとかやりくりすることが使命であり、経営の問題とも言えます。そして時間という制約条件は必ず付いて回ります。従って、理念では実行可能性は担保されないのです。

管理職経験者、例えば部長や課長経験者が、中途採用で入社しても、簡単には機能しないのは、これまでお話しした二種類の人々に挟まれていて、その挟まれ方が多種多様であることが大きな理由の一つです。

優秀な人材が優秀でなくなる!?

意思の疎通ができない人々と関わる仕事では、意思の疎通ができないことを織り込んだ管理方法を考えなければなりません。

どうやるかが問題となる職場に馴染んだ人材は、一般に優秀と看做される場合が多いですが、どうやらせるかが問題となる職場で必要な優秀さとは異なります。そして、どうやるかが問題となる職場を上手くやりくりさせてきたノウハウとは別のノウハウが求められるのです。


[追記 平成29年9月1日]

勿論、どの企業のどの組織でも実力を発揮できる中途採用の管理職経験者はたくさん存在するでしょう。今回、明らかにしたのは、あくまでも中途入社の管理職経験者が機能しなくなる仕組みの説明です。

経験自体は邪魔をしない

経験が邪魔をするのは、置かれている環境、つまり所与の条件が変わり、過去の前提条件とは異なっているのに、経験をそのまま当てはめようとすることから起こります。

経験不足の経験者|知恵無き年数に価値はない で辛辣に批判した過去の経験についても、取り扱いを間違えなければ資産と言えます。

経験を有るがままのものとせず、経験をその存在以上のものとして取り扱うことが間違いなのです。

入社前のヒント


[追記 平成29年8月27日]

転職コンサルタントから、求人を紹介された際に、求人背景や仕事の説明の一環として、しばしば、社長とのコミュニケーションが重要だとか、定着率の悪い職種の組織維持が期待されていると云った説明を受けることがあります。これは、単に、総務部長や営業課長など、職位に付された名称だけでは、仕事の全容が伝わらないからです。

専門的な部署の責任者であっても、期待される仕事が、実は労務管理であることもあるのです。例えば、有能な人間が揃ってはいるが、諍いが絶えない組織の部門長の職責が該当するでしょう。※

※ 労務管理が良好で、業務が滞ることは有り得ません。あくまでも業務が円滑に遂行されて初めて、労務管理が良好と言えます。(¶ 管理職が上手く機能しない理由|管理の対象は業務であり、人ではない)念のため。

転職活動で言えば、求人票からは読み取れない実質的な仕事の内容を掌握し、求人と転職希望者とのマッチングを図る人材紹介の仕事の付加価値の源泉の一つがここに見えます。(¶ これが転職エージェントだ!|考えて転職