管理職になった理由と役割|押し出された一番人気

競馬

管理職になった時、多かれ少なかれ、自分が認められたと思いがちではないでしょうか。

勿論、実力、能力が認められて、晴れて管理職に選ばれたという場合は多いでしょう。ところが、必ずしも将来を嘱望しょくぼうされているわけではない、つまり管理職に選ばれたことが必ずしも実力、能力を認められていることを意味するわけではないというお話です。

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押し出された一番人気

この言葉を聞いて、ピンと来たかもしれません。

過去に何度か訪れた競馬ブームの頃、聞き覚えた言葉です。ハイセイコー、シンボリルドルフに次いで訪れた競馬ブームの火付け役、ナリタブライアンが活躍していた頃のことです。

この言葉を初めて聞いたのは、かつての秋の天皇賞で、一番人気視されていたメジロマックイーンが直前に天皇賞を回避し、ライスシャワーが一番人気となり、ライスシャワーが押し出された一番人気と表現された時と記憶しています。

一番人気

日本中央競馬会JRAが発売する勝ち馬投票券の売れ行き順で、一番人気、二番人気などと呼ばれます。

重賞と呼ばれるグレードレースでは、賞金獲得を目論む有力馬が集まりますから、通常は人気で有力な競走馬が自然と一番人気に収まります。

有力馬の居ないレース

ところが、時として、有力馬が居らず、善戦するけれども、勝ちきれないような競走馬が集まるレースがあります。こうなると積極的にどの馬が一番人気になるのかというよりは、一番人気に選ばれるに相応しい競走馬はいないけれども、投票で人気順は決まりますから、結果的に一番人気になる馬は存在するという印象を受けます。

その場合に、他に選ばれる馬が居らず、その中では、結果的に一番人気が高かったという意味で、一番人気に押し出されたと捉え、押し出された一番人気と表現するのです。先の例で言えば、一番人気になると目されていたメジロマックイーンがレースに出ないことになり、有力馬が他におらず、ライスシャワーが押し出されて一番人気になったということです。

どの馬も勝ちそうにない未勝利戦

もっと極端な例を挙げますと、未勝利戦というのがあります。

初出走デビュー以来、一勝もできない馬が出走するレースですが、中でも、時として、既に何レースも走っていて、成績はと言えば、最下位近い順位を繰り返している馬が集まってしまうレースがあります。この場合は、正に、どの馬も一番人気にはなりそうには見えず、どの馬も勝ちそうにも思えないのですが、必ずどの馬かは一番人気となり、どの馬かは最先着して勝利を収めます。

仕方なく選ばれた管理者

企業や店舗では、先の競馬の「押し出された一番人気」と同様の人事異動がなされることがあります。

人は居るけれども人材がいないなどと称される企業でしばしば起こります。

組織や店舗が存在する以上、組織長や店長、規模によっては中間管理職が必要になりますから、適当な人材が居れば、その者を配属すれば良いのですが、先の未勝利戦のように、どの馬も勝ちそうにない、組織では、誰にやらせても上手く行きそうにないけれども、組織があるが故に、組織長は置かざるを得ないから、幾分かでもマシだと思われる人間を仕方なしに配属するということです。

未勝利戦であれば、取り敢えず、一番人気が決まり、一着が決まり、結果、優勝馬が決まって、一件落着となるのですが、組織や店舗ではそうは行きません。

押し出された一番人気で、組織長を定めたとしても、実際上の組織運営が別の問題として残っているからです。言い換えれば組織長さえ決まれば良いわけではないということです。この点で、優勝馬が決まれば良い競馬とは異なります。

押し出された一番人気として管理者に選ばれたら

自分自身が管理職としての資質、能力が足りていないと自覚できれば、それはそれだけで十分に立派なものです。それというのも身の丈、或は、身の程を知るということが、事を為す第一歩だからです。

指示命令では人は動かない

資質、能力の足りていない者ほど、権力に訴えようとします。つまり、指示、命令で人を動かそうとするということです。

管理職に必要なことは、与えられた組織の担う業務を管理することであって、人を管理することではありません。(¶ 管理職が上手く機能しない理由|管理の対象は業務であり、人ではない

指示命令で人を動かそうとすれば、いたずらに反発を買い、組織の結束力は弱まって行きます。

働き易い環境作りこそが管理者の役割

従って、組織メンバーに気持ち良く仕事をしてもらう環境を整えるのが、管理職の役割であると理解すれば良いでしょう。

この事を、はらの底からきちんと理解できていれば、管理職の最低水準は満たしていると言っても過言ではありません。

組織の状況をきちんと理解しないで、矢鱈やたらに号令を出そうとすれば、無視され管理不能になります。常に正し指示を出し続けることができるわけは無く、或る程度、個々人に裁量を持って仕事をしてもらう必要があります。指示命令通りでは、上手く行かないことが多々あるからです。

最悪の状態は、指示通りやったけれどもできませんでしたと返ってくることです。裁量を与えているとしたら尚更です。裁量を与えているにもかかわらず、指示通りやったけれどもできませんでしたと返ってくる場合は、十中八九じゅっちゅうはっく、管理者に反発を覚えていることでしょう。

離職率はベンチマーク

無理に言うことを聞かせようとすれば、非効率にもなり、組織メンバーは離反していくことでしょう。離職率の上昇という形で現れます。

業界標準から見ての給与水準や業務の難易度に特別な問題がないのにもかかわらず、離職率が高い場合は、間違いなく管理職に問題があります。

組織内コミュニケーション

組織を運営可能な状態に保つためには、組織メンバーとの緊密なコミュニケーションが必要不可欠です。組織内のコミュニケーションが円滑になって初めて、組織は思い通りに動かすことができ、業務も円滑に遂行することができるのです。

円滑なコミュニケーションの成立とは、言い換えれば、言葉が言葉通り伝わる状態の確立です。それまでは、指示内容自体も正確には伝わるとは言えないのです。

企業そのものに、多少の問題が有ったとしても、直属の管理者(上司)との信頼関係があれば、組織は維持できることが多いです。

先ずは、組織メンバーを大切にすることから始めてください。