店長になれない

マネジャー

飲食店が典型的な例ですが、慢性的に人の足りない店舗。求人広告がいつも出ていて常に人材を求めています。

店長候補を募集しているのにもかかわらず、一見すると仕事ができる人なのに、その人よりも後から入った人が先に新店の店長に登用され、いつまでも店員に留まり続ける人が居ます。

今、飲食店を挙げ、店舗という言葉をつかいましたが、営業所などでも同様でしょう。

スポンサーリンク

人手不足に見る意識の差

離職には原因があります。頼みにしている正社員がその元凶であることも多いのです。

飲食店

慢性的に人手不足のお店。店長や副店長はおろか一般社員も休日出勤が続いています。

店長、副店長を含む正社員4名とアルバイトやパートタイマーから成る店舗です。店舗に於ける正社員の定員は6名ですが、1名乃至ないし2名欠けていることは日常茶飯事です。

論点をずらさない為に、ここでは労働基準法などについては置いておいてください。

正社員一人一人が各々おのおの一人前いちにんまえの仕事を行うという建前で考えれば、6人が定員の職場には六人前の仕事があることになります。六人前の仕事を4人で等しく分けるとすれば、一人が1.5人前の仕事をすることになります。

このような状況ですと、従事している4人の正社員の願いは、皆が共通していて、

兎に角、人が欲しい。増員して欲しい。

となります。休みも満足に取れない状況と言えますから当然でしょう。

増員

4人の願いがかない、1名の増員がありました。

4人しか居なかった当時と比べ、5人になった訳ですから、頭割あたまわりの単純計算では一人当たりの仕事量は1.2人前になります。

ところが一般的には、新しく加わった正社員にフル稼働は無理ですから、店のやり方に慣れることも含め先ずは一人前いちにんまえを目指して働き始めることでしょう。要するに一人前いちにんまえに欠ける状態からスタートするということです。

他の4人が無事にこなしている1.2人前の仕事どころか、一人前いちにんまえ覚束おぼつかないということです。初めは0.8人前※くらいと試算しましょうか。

※ 中には勿論、初日からバリバリと働くことのできる優秀な人材もいるでしょう。その場合にはこれから以下に取り上げる問題は顕在化けんざいかしないでしょう。

歓迎ムード

それでも初めは

来てくれただけで有難い。

と歓迎ムードであり、それがしばらくは続きます。

二三週間経った頃でしょうか。新しい正社員は或る程度仕事を覚え、お店ではシフトローテーションの一角を占めるようになります。

離職の原因

ここで新しい正社員が1.2人前の仕事を継続的にこなせるようなら特段問題は無いでしょう。ところが、1.2人前の仕事です。時として、満足にはこなせない場合があります。

仮に一人前いちにんまえの仕事といっても、万人ばんにんにこなせる仕事量ではないから離職率が高くなり、慢性的に人手不足にあるとも言えます。

すると、この新しい正社員も、ここと同じような4人の状況を迎えて、新たに正社員が加わった際、ここでの現在の状況のように1.2人前の仕事をこなせるのか。

それ以前に、そもそも正社員が4人だった状況のような場合に1.5人前の仕事をこなせるか。これらについてははなはだ疑問が残ります。要するに人を選ぶということです。

ここらあたりから意識の差が出てきます。

店長になれるかなれないかを分かつ試金石

人によって感じ方に違いが出てくるのです。

感情があなたの利益を遠ざける で触れた「利害に忠実な人」と「欲望や感情に忠実な人」とでは反応が異なってきます。

まともな店長、つまり「利害に忠実な人」の発想ならば、新しい正社員を戦力外であると判断しない限りは、その能力に応じて人材として活用しようと考えます。

例えば、1.2人前の仕事を出来る人、0.8人前の仕事のできる人、1.1人前の仕事のできる人、1.3人前の仕事のできる人がいた場合は合計で4.5人前だから、残りの1.5人前を自分が埋めれば仕事は回るという考え方です。

管理者ではあるが・・・

店長の管理者としての役割について誤解があるといけないので補足します。

組織運営の観点からは、管理者である店長の負荷は押さえ、頭を使える余力を残すのが原則(¶ 管理職は疲弊していてはいけない|管理職の役割)です。ところが、飲食店では店長がプレイングマネジャーである場合が比較的多いです。つまり管理者としての役割のかたわらで、現場の牽引役けんいんやくを務めなければならないということです。

利害に忠実、店舗運営を円滑に行う価値に忠実という観点に立てば、基本的には既述の店長のような発想になります。

店長になれない人

一方で、欲望や感情に忠実な人はどうでしょうか。

私は1.2人前の仕事をしています。

それなのに、なぜあの人には0.8人前の仕事しかさせないのですか。

といった発言となって資質があらわれます。

店長は、人によって能力的に差があること、つまり人によって掛けられる負荷が異なることは分かっています。

ところが、欲望や感情に忠実な人は、それが分かっていないのか、或いは分かっているのにもかかわらず、先程のような発言をしてしまいます。

負荷上昇

すると、あの人だけがズルいなどといった空気が職場内に伝播でんぱし、結果的にはあの人に該当する正社員を退職に追い込みます。

そうなれば、自分にも以前と同じように4人で頭割あたまわりの1.5人前の仕事が降りかかってくるのです。結果として1.5人前の仕事を担えない人には、この職場では働き続けられないという状況を作り上げてしまい、自分自身への負荷も高めてしまいます。

もう一つの離職の原因

負荷の上昇が自分だけなら良いのですが、他の正社員全員の負荷を上昇させてしまいます。

短期的には1.5人前の仕事を担える人でも、それが長期にわたれば嫌気して離職してしまうかもしれません。それは極めて不安定な職場環境を作り出すということです。

店長は任せられない

従って欲望や感情に忠実な人の発言として挙げた「私は1.2人前の仕事をしています。それなのに、なぜあの人は0.8人前の仕事しかさせないのですか。」というような発言をする人には店長は任せられないということになるわけです。

同僚その他の動機付けモチベーションアップは大切な仕事の一つです。それが分かっていないだけでなく、同僚の離職の原因すら作り出しているというのは言語道断です。

優秀では無いことに気付け!

ところがこういう人に限って、自分を優秀だと勘違いします。確かに料理人として或いはホールとしては優秀かもしれません。それは作業員としての優秀さです。店舗運営者としての優秀さは皆無かいむなのにもかかわらずです。

ですから、店長になりたいのに、自分より仕事ができないと思っている人が、自分より先に管理者に近いところに上がって行くならば、自分をかえりみて、自分自身は作業員としての優秀さに胡坐あぐらいていないかと疑ってみるのが良いということです。

問題の核心は、視野の狭さにあります。