閉塞からの改革|軽視するほど膨らむ事務コスト

間接費
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規模の小さな会社の秩序

効率的に機能する営業至上主義

叩き上げで営業中心、売上至上主義・・・中小企業ではこんな会社が意外と多いです。社長が多少見栄っ張りだと、管理部門の重要性などを社長自らが、いていたりするのですが、実際のはらは営業至上主義です。

注文や契約を取って入金するところまでが全てであって、その価値観は、ある意味では合理的です。

しかしながら、時間経過に共に営業規模の拡大に伴って、合理的とは言えなくなってきます。

少しずつ見え始めるほころ

それは営業が出掛けていくための道具立てツールは揃っていても、内部の管理に必要な道具が欠けているためです。

社長自らが全てを把握している会社が比較的多いと思います。

社長の能力容量(capacityキャパシティ)一杯までは、営業主体でも会社は何とか回って行きます。

何か必要な情報が有れば、ワンマン社長の一声で、従業員はノウハウもないところから、必死になって情報を引き出してきます。

出された情報の正誤を直感的に判断できるのは、曲がりなりにも会社を潰さずにここまで来られた社長の器量でしょう。

何度か出し直しをさせ、自らの考えに裏付けが取れるとまた先に進むといった具合です。

実態も社長の本音通り

実は従業員がデータを出す前から、社長は、ある程度は結論を持っているといえます。ですから、従業員に命じられる内容は、その裏を取るための作業に過ぎません。

社長が全てを握っている

従って、ここが大切なところなのですが、管理業務一般の本質的な部分は、実質的には、社長が全て行っており、従業員はなんら新しいものを生み出していないというのが社長の本音となります。そしてそれがまた会社の実態でもあります。

社長のキャパシティを超えたところが分岐点

コントロール不能になる会社

ところが規模が拡大し、社長の能力容量キャパシティを超えてきた時が問題です。今まで社長自らが掴んで来た情報を手に入れるすべがなくなることを意味します。

従業員に指示しても、当然ながら正確な情報は得られません。それは社長自身がこれまで従業員が取り組む内容としては、軽んじてきてしまった価値観の情報だからです。従業員は社長の本音を知っているからです。

全てを自分が取り仕切ったツケが回る

これからこれまでの「売ってナンボ」の価値観が我が身に帰ってくるのです。この種の多くの企業では、営業主体で前に進むことしか出来ないために、依然として体制は変えられず突き進み続けることが多いと思います。

その場合も「管理部門にも力を入れなければいけないのですが・・・」と申し訳の言葉はしばしば見られるものの、実際の行いは、従業員に対してのごり押しです。時間はかかる、正確な情報はでない、出し直しの繰り返しです。

社内に管理適性のある従業員は皆無

これは当然のことです。営業主体で来ているのですから、管理業務や事務の適性がある従業員がいることはまれ稀のはずです。

過去に適性の高い人材が入社したことがあったとしても、有能であればあるほど居つくはずがありません。重用ちょうようされないのですから当然のことです。

従って、既存の人材で何とかしようと思っても難しいことです。

現状打破には新しい血が必要

望まれる経営企画を担える人材

従って、社外からの人材登用が望まれます。この場合に大切なことは2つあります。ひとつは、管理職(マネージャークラス)を雇うことです。それも経営企画を担える人材が必要です。既存の仕組みや規則を守ることに長けた管理職ではなく、新しい仕組みや規則を作って行かれる人材が必要なのです。

人材の招聘が求められる

その為には、社長が考えている水準よりは遥に破格の待遇で迎え入れる必要があります。

ここで管理業務や事務職に高い給与は払えないと考えているようであれば、社長の意識が低すぎるので、社長の能力容量を超えた事業推進は不可能でしょう。

社長が本気になって後ろ盾になる

社長の自説は控えめに

もうひとつの大切なことは、会社の改革は社長が行うという心構えを持つことです。正確には招聘した経営企画の人が行うその後ろ盾になればよいのですが、社風によっては社長が表に立った方が良い場合もあります。但し、口は出しすぎないことです。

自分の能力を補完するために雇い入れたのですから、社長自身の自説に固執していては意味がなくなります。

求められる人材像

今、話題にしている企業は規模がまだまだそれほど大きくはないので、業務そのものはそれほど複雑ではない場合が多いです。

ですから、どちらかというと会社にうまく溶け込める人材であるかを重視した方が良いかもしれません。

もちろん、業務を洗い出し、再構築し、仕組みを提案しなければなりませんから、能力、スキルも重要であることは言うまでもありません。

相応の人材登用を行い、社長自らが後ろ盾となるというこの2つを実行できれば、会社の方向転換は実現します。もちろん、簡単なことではありません。

注意が必要なのは、ネームバリューに囚われた採用は行わないことです。

例えば、大企業の役職経験などは重く見過ぎないことが必要で、中小企業では時として、全く役に立たない人材であることがあります。御膳立ての済んだ職場とこれから御膳立てが必要な職場とでは必要とされる能力、スキルが大きく異なります。

旗本と野武士では、統率に必要な器量は、一般に大きく異なるのです。

[追記:平成29年1月10日]

営業至上主義で突き進んだ場合の末路

一方で、営業中心主義のまま走り続ける企業はどうなるでしょうか。

必要な情報がもたらされないため、従業員を増やしていく、徐々に人件費が膨らんでいく、事務作業が増え、煩雑になっていくなどなどの症状が現れていきます。

人海戦術では営業はともかくとして、管理業務は良くなりません。

必要なのは仕組みです。

どこかで事務・管理業務バックオフィスの重要性を認識し、経営を転換しなければ、間接費が膨らみ続けるか、機能不全に陥り、いずれ会社は傾きます。

事務・管理業務は、経営の舵取りのため、企業の現状や現在から将来へ向けての延長像を見せる役割を担っており、意思決定には必要不可欠な機能なのです。