会社の常識は他社の非常識|価値観があべこべの世界

あべこべの世界

或る組織、集団だけに属していると認識できない特質が、他の組織、集団と比較することで、認識できることがあります。

当たり前が当たり前で無いことを知ることは、他の組織、集団から来た人を受け入れるに当たっての助けになるでしょう。

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事実認識を妨げる二つの法則

前回お話したように、これからの触れる内容での「世の中には様々な人がいる」の「様々な人」は、「現在の自分の周りではなく、その外側にいる人」を意味します。(¶ 自世界の外側の人々について|知らず知らずと疎遠になった人々

敢えて回りくどい話をしたのは、多くの場合、人は現在の自分の延長線上や過去の経験、自分にとって想像できる範囲のものしか存在するものとして認めることができません。

私はかねてから、二つの法則があると考えています。

  1. ある事柄が、世の中の常識を超えて、ひどければひどいほど、その事柄が事実として認識されない。(仮にその事柄で、被害を受けている者がいるとすれば、更にひどい扱いを受けることになってしまう。)
  2. 聞き手の想像を超えてひどい話は、聞き手自身が話を補正し、それほどひどくない話として聞いてしまう。

の二つです。

一例を挙げます。

ブラック企業という言葉が、昨今よく使われるようになっています。しかしながら、恐らくはそのブラック企業に実際に勤務した経験がなければ、そのひどさは真に分からないということです。それは、先の2つの法則が大きく働くからです。

恵まれた環境とは言わないまでも、こく一般的な環境に居れば有り得ないことが、起こっているとして、自分の環境とブラック企業の環境との差が大きければ大きいほど、現実に起こるとは思えないということです。

価値観の異なる世界

ブラック企業の話はさておき、自分が育ってきた価値観の世界の延長線上で仕事に従事できる人は、比較的幸いです。それは育ちや価値観が似たものが多く集まっており、結果、自身の経験、知識の延長線上で仕事が出来ます。一方で、何らかの理由で、全く違った育ちや価値観の世界に入り込むと驚きの連続となります。

驚きの連続とは、具体的にどのようなことか、続けてお話いたしましょう。

異なる正解

仮に、上司から、ある仕事の依頼・指示があるとしましょう。それが明らかに自身の能力外であり、その仕事をこなすのに必要な基礎知識を身につけるのにも、時間がかかり、必要な納期に間に合わない内容であるとします。

このような状況下での部下の行動は、恐らく大きくは2つの類型に分かれます。

  • 仕事の依頼は、仕事の依頼、上司からの指示である。出来ないかもしれないが、一応は受ける。
  • 明らかに遂行は不可能。それを隠して引き受ければ、会社にとっては時間の損失ロスであり、理由をきちんと説明し、判断は上司に委ねる。

上意下達じょういかたつ死守型

ひとつ目は、社内の階層組織を重んじる考え方です。上司の言うことは絶対であり、全て正しいものと受け止めます。上司が黒いものを白といえば白であり、反論は許されません。組織・秩序を重んじる行動が求められます。もし出来ないと言った場合、

なぜやる前から言うのか。

とか

言うことが聞けないのか。

という言葉が返ってきます。

業務遂行中心型

ふたつ目は、仕事・業務中心の考え方です。効率を重んじ、どうすれば円滑に業務が遂行されるかを重んじます。どうすれば、効率的に業務が遂行できるか考えることが求められます。もし出来ないことを伝えなかった場合、

何故、無理なのが分かっていて、それを言わないのか。

という言葉を後々言われることになります。

この2つの価値観の違いは、日々の行動の違いになって現れます。その価値観から生み出される習慣、ルールなどにより、驚きが多岐にわたることになるでしょう。

合理性の違い

業務遂行中心型から見れば、不合理に見える上意下達死守型も、上意下達死守型は上意下達死守型で効率が良い部分があるのです。

それは例えば荒くれ者というと語弊があるかもしれませんが、職人気質の構成員メンバーからなる組織では、個人行動を押さえ、秩序を守らせることに心を砕く必要があります。その場合には、誰が指揮を執る者であって、誰が仕える者であるかを、常に明確に意識させておくことに意味があります。つまり、好き勝手にやらせないという意味に於いてです。

組織崩壊は大事ですから、効率より組織階層の維持を優先するということです。これはこれで、大きな目で見れば、業務遂行を中心に据えていると言えないこともないのです。

一方の文化に属する組織しか経験していないと、もう一方の文化が奇異に感じられるものです。

驚きの連続の意味は垣間見えたでしょうか。

理解の外にある組織文化の機構メカニズム

今回のお話でお伝えしたかったのは、特に所属する組織文化と真っ向反対の組織文化の存在です。

そして、一般に自分自身の経験・知識を超える話は、仮に聞いたとしても、心して掛からないと、真意を理解することは極めて難しいということです。

それは、相手にとっても同様であり、自分の背景と相手の背景とをきちんと踏まえた上で、きちんと必要情報を補うなど、配慮の行き届いたコミュニケーションが求められるということです。

冒頭で紹介した二つの法則は極めて強固に働きます。実際に働いているメカニズムは異なっているにもかかわらず、自身の属する文化に引きつけて補正して理解してしまうのです。

二つの法則に因る理解の障壁を乗り越える為に、様々な価値観の世界でのコミュニケーションの経験が大きな助けとなることが、今回の文脈コンテクストから理解できるのではないでしょうか。