伸び悩むのには理由がある|英語習得法に学ぶ

授業

習い事を長く続けているのに思うような進歩が見られない。

そんな悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。

手慰みで続けているのならまだしも、懸命に取り組んでいるとするとなんとかしたいものです。

今回は習い事で当たった壁をどう乗り越えるかについてお話ししましょう。

受験勉強、仕事、或いは趣味でも真剣に習得したいと考えている人にとって何らかの指針になればと思います。

これからお話しする内容は、腑に落ちにくい内容かもしれません。こういう私自身も理解できたと感じたのは随分と後のことでした。

一見当たり前過ぎて分かったような分からないような、或いは直ぐに分かったように感じる言葉の真の意義を理解すれば、学習法の要諦を手にしたことになるでしょう。

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伸び悩みを解消する3つのポイント

伸び悩みを解消する以下の3つのポイントを、主として英語の学習を題材にお話しします。

  1. 時間との戦い
  2. 関心の強化
  3. 能動性と負荷の問題

時間との戦い

大学受験時に長崎玄弥さん(以下敬称略)の奇跡の英単語(赤版)に出会いました。当時、有名だった英単語学習書の一つです。

トロッコと新幹線

その中で、insult-侮辱-insult-侮辱-insult-侮辱と連呼して記憶しようとするやり方は直ぐに忘れてしまう記憶法で、それをお経式と揶揄やゆし、

あなたの記憶圏に日本語を運びいれる鉄道は、言わば新幹線、広軌の上に整備は満点、「侮辱」という日本語は弾丸のように記憶圏に突入します。一方、英単語はトロッコのようにノロノロと記憶の表面を通り過ぎ、忘却のトンネルに吸い込まれて行きます。トロッコ線を記憶圏内に引き込まない限り、記憶の浸透は達成されません。

と記憶の為の速度の違いと指摘しています。

ロケットで大気圏突破

因果関係がないinsultと「侮辱」という組み合わせで、insultと言う単語を覚えた記憶は有っても、「侮辱」と云う意味を忘れてしまったり、誤ってinsultと他の意味を結び付けてしまう現象についても指摘し、お経式は不毛であると結論付けます。

そして英単語の空に宇宙ステーションをの掲題で月にロケットを打ちあげるためには、大気圏という障壁があります。この本は6段式ロケット。こう説明した上で、1秒以内に思い出せない英単語はあやふやだとし、時間との戦いを勧めるのです。

できるの水準

つまり、一般化して纏めると、習得では、

  • 習得には水準があるということ
  • それが「できる時間」が大切であるということ

この二つを理解する必要があります。

英単語の話に戻って云えば、

  1. 覚えた気になっている単語
  2. 知っている単語
  3. 血肉化された単語

の違いです。例えば、1.はふとした拍子に思い出せなくなるかもしれません。2.は読めはするけれども、自分では書いたり、話したりはできないのではないでしょうか。3.なら書いたり、話したりもできるでしょう。

単語集を見て、例えばある1ページの10単語を見て、全ての意味を思い出すのに10秒かかるのと20秒かかるのとでは大違いです。

その時点で、単語テストでもやれば、両者は同じ得点になるかもしれません。ところが1年後に同じ得点になるかは疑問です。それは後者が、英単語が大気圏に突入できていないかもしれないということだけではありません。そこからの上積みの基礎としての力にも大きな差があろうということです。

自らのハードルを上げよ

えっちらおっちらとならやれるというのは未だできるとは言えないのだと自身のハードルを上げて置き、スピードを上げるべく精進するのが大切です。

繰り返しは無限の喜びである

その為には繰り返しは無限の喜びであることを知らなければなりません。これは地道にコツコツひたひたとを信念としていた今は亡き恩師が著書英単語ピーナツに残した言葉です。


  1. 時間との戦い
  2. 関心の強化
  3. 能動性と負荷の問題

関心の強化

「英語が書けるようになるにはどうすれば良いですか」の質問に、恩師曰く

書こうという意識で読むことだ。

こう答えが返ってきました。

たまらず「書こうと言う意識で読めば書けるようになるのですか」と反問したのですが、「その通り」との返答でした。

当時は大いに戸惑ったのですが、今では噛み砕いてその意図を説明できます。

意識の効用

簡単に言うと、書こうと心掛けていて英文を読めば、あれも使える、これも使えると単語、熟語、語の繋がり・連語collocation(コロケーション)※などが身に付いて行くということです。

※ 近頃では英単語学習でコロケーションという言葉が普通に使われるようになっているようですが、当時は耳慣れない言葉でした。当時、恩師は盛んにコロケーションの重要性を謳っており、英単語ピーナッツは師の英単語学習法の集大成とも言える本でした。

腑に落ちないという方のために、もう少し感覚的な例を挙げましょう。

小手毬こでまり

あなたは近所を散歩しているとします。戸建て住宅の集まった町です。あなたが好意を持つ人に「あなたの町はきれいな花のある家が多いね。角の赤い屋根の家の小手毬こでまりがきれいね。」と言われれば、普段は花に気を留めなかったあなたも、これが小手毬という花なのかと感心し、散歩道で目に付く花にも気を留めることになるでしょう。

記憶の切っ掛け

うろ覚えなのですが、独逸どいつ語学者の關口存男せきぐちつぎおさんは、或る抽象的で難しい単語を講義で教えた時、皆が忘れてしまったとしても、きちんと覚えている学生が中には居るものだ。それは心の中の強い関心と結びつくからだというようなことを書かれています。

つまり、関心の範囲を大きく広げ強めれば、単語の吸収力も高まるということです。

強い関心をはぐく

纏めますと、関心を持つ。関心を強く持つ。

関心を大きくし、質を高めようという心掛けが習得の効率を左右するということです。


  1. 時間との戦い
  2. 関心の強化
  3. 能動性と負荷の問題

能動性と負荷の問題

物事を習得する上で重要なことは、実りのある学習には負荷がかかるということです。

王道なし

学問に王道なしという言葉がありますが、学問で無くとも王道は無いのです。

楽なやり方というものはありませんし、楽に学習できているのだとすれば、身にはなっていません。

新しいことを学んで負荷が無いはずがない

新しいことを習得すること、今ある水準よりも高めることは本来負荷が掛かるはずです。掛かるはずの負荷が掛かっていないとすれば、やってもやらなくても同じことを繰り返しているにすぎません。

きれいに写し取られたノート

大学ではあまりいないかもしれませんが、小中高の頃にしばしば見かけたのは、きれいにノートを書くが成績が良くならない生徒です。

ノートを取ることと、勉強は別物です。初めて習うことで、論理ロジックをきちんと頭の中で追いかけながら、きれいにノートを取る余裕があるはずがありません。色を変えながら、教師の板書以上にきれいに写して行くのは、単に書き写す以上のものにはならないでしょう。

きれいなノートが出来上がった時、本来なら改めて勉強しなければならない状態のはずです。学習の本質は、書き写すことには無いのです。※

※ 教師にもしばしば勘違いしているのを見かけます。板書をきれいに移すことが必要なら、コピーでも印刷でもして配れば良いのです。或いは本を買った方が遥かに効率的です。教師の役割は、決してきれいに板書することにはありませんし、生徒に板書をきれいにとらせることでもありません。

人から教わる意味

講義や授業の役割は、文章面ぶんしょうづらから読み取りにくい、或いは誤解されやすいことを補い、行間を埋めることに意味が有ります。

当たり前の話ですが、人から教わることに意味が有るのは、紙面からでは拾い切れないこと、不足することを補えるところです。字は読めるのですから、代わりに音読してもらうのは無駄なことです。

人間とは楽をしたくなるもの

学習しているつもりになって、楽をしがちだから、伸び悩むのだとも言えるでしょう。

きれいに板書を書き写すことも学習しているつもりになって楽をしていることなら、既に習得済みのことを単に繰り返すのも同じことです。

誤解しないで欲しいのは、既述の通り、反復練習は大切なことだということです。

反復練習は質を高めるという目的に適ったものでなければならないのです。

只管しかん朗読

國弘正雄さんが英語学習法で有効だと紹介している只管朗読があります。只管朗読は國弘正雄氏と親交のあった恩師から教えられました。

読書百遍意自ずから通ずという言葉もある通り、繰り返すことで意味が分かってくるようになります。

実際に、独逸語習得を志し、Karl Jaspersカール・ヤスパース著のKleine Schule des philosophischen Denkens哲学の小さな学校の第二章であるGeschichte und Gegenwart歴史と現代を300回音読すると最後の方には、微妙な意味合いニュアンスまで伝わってくるようになりました。※

※ 余談ですが、只管朗読する文章はもっと平易で口語調のものが良いと勧められていました。しかしながら、興味と関心とが習得に与える影響を考えると当時哲学や文学に関心が強かった私にとっては相応しい題材だったのかもしれません。

その為には、漫然と繰り返すのではなく、きちんと意味を追いかけながら、文章を読んで行かなければなりません。気持ちを込めて読む意味合いも込めて音読より朗読という言葉の方が相応しいのでしょう。只管はひたすらの意ですが、漫然にということではないのです。※

※ 漫然と音読をしても効果は上がらないでしょう。そうは言っても、朗読の仕方を模索しながら、読むことは漫然と音読したこととは異なりますから、初め上手くできなくても続けるべきです。

効果がある学習法には負荷がある

引き続き英語学習を題材に話を進めます。

例えば、辞書を引きながら、本を読むだけなら、あまり負荷が掛からずに取り組めますが、辞書を使わずに読んでから、改めて辞書を引いて読むと負荷がかかります。学習者にとって、分からない単語のある文章を読むのはそれなりに苦痛を伴うからです。

他にも、出来上がった文章を覚える※のに比べ、英作文を書くことや英語を話す訓練は負荷がかかります。

※ 一定の段階までは、文章を丸暗記することも必要です。ところがその段階に留まることで伸び悩むのです。

学習者が一般にやりたがらないことは負荷が高いということです。逆に、それを物ともせずできる人が習得できるとも言えるでしょう。

「能動性と負荷の問題」と銘打ったのは、負荷の存在とその負荷のある習得法に果敢に挑む能動性が伸び悩みから脱却する要諦だからです。


  1. 時間との戦い
  2. 関心の強化
  3. 能動性と負荷の問題

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