美味しい店が無くなって行く(その弐)

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最低限年一回は更新と思っていたのですが、ついに昨年は更新できずじまいでした。

筆をとらない状態が続くとますます筆が重くなるという悪循環です。

何事にも言えることですが、行うことが次の一歩をより軽いものにし、更なる一歩を踏み出せるのだとつくづく思いました。

私事ですが、一昨年から昨年に掛けて一年間高松で過ごしました。これを機に饂飩打ちを始めました。

ずっと麺打ちには興味がありながらも中々始められない状態でした。ところが饂飩三昧の生活をするにつけ、何となくうどんを打ってみたところ、徐々に打つ頻度が上がってきました。

はじめは一尺(30㎝)程度ののし棒を使っていましたが、今では二尺五寸(75㎝)ののし棒を愛用しており、のし板も揃っています。

小麦粉も製粉会社に赴いて買い求めました。現在は高松を離れたので、通販に頼ることになりそうです。

いずれは飲食店を開き、うどんを出せるようになりたいと思っています。

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注文したいものが無い!

高松からの転居時に、搬出日と搬入日との間に一日ありましたので、宿泊が必要になりました。その際に久しぶりに海鮮の居酒屋に入りました。

海鮮居酒屋にて

先ずは店内を見回しました。そしてカウンターにあったお品書きをみました。

ところが注文したいものが無いのです。

試しに自家製というしめ鯖をいただいたのですが、味は今一つです。今が旬と書いてある鰤は養殖のようでした。天然の鰤ならば、今が旬も頷けますが、養殖の鰤で旬と言われてもというのが正直なところです。タイミングが良ければ北海道で上がる鰤が食べられる時期でもありましたからそれを期待したいところでした。

今では養殖の鰤は、スーパーマーケットで日常的に手に入ります。そして品質も遜色がないでしょう。天然だからこそ個体差が大きく、その美味しいところを仕入れるのが飲食店の存在価値の一つではないでしょうか。天然のきめ細やかな脂の乗った鰤をいただきたいところでした。

烏賊の塩辛は自家製かと尋ねるとどうやらそうではないらしい。それなら自身でも普通に買い求められる品ということになります。過去記事 ¶ 美味しい店が無くなって行く でも指摘したのですが、飲食店には、単に手間を省く、つまり盛り付けや後片付けなどを代行してもらうだけのことになります。

それだけの為に高い金を支払う了見はありませんから、早々に店を出ました。

ホワイト企業化

海鮮居酒屋を標榜しているのにもかかわらず、何故このようなことが起こるのでしょうか。

働き方改革による企業がホワイト化していることがきっかけの一つと考えられます。

手間!手間!手間!

例えば、良質の天然鰤を仕入れようとすれば、仕入に出かける必要があります。仕入れた鰤は水洗いが必要な場合もあるでしょう。養殖で半身になった真空パック入りの鰤に比べれば手間がかかり、その分時間がかかります。

塩辛も同様。ワタに塩を当てて寝かせれば、時間がかかります。しめ鯖も同様でしょう。鯖を締める手間もさることながら、美味しいものを提供しようとなれば、仕入の段階で吟味が必要になります。

良質な料理を提供しようと思えば、著しく手間と時間がかかります。

注文したい!

では注文したいものはどこに行けばあるのでしょうか。

残念ながらブラックと言われる労働環境のお店です。とは言えブラック肯定派なのかと早飲み込みしないでください。

例えば私のお気に入りの寿司屋は、大将とその奥様で切り盛りされています。大将は、朝、市場へ仕入に行き、深夜まで営業しています。

経営者自らが営業に携わっているので、特に労働法上の問題は無いと言えるでしょう。

効率化の繰り返し

「注文したいものが無い店」と不名誉な命名を行いましたが、その中でも安定的にお客さんが入っている店はあります。

集客の誘因は必ずしも料理の品質ではないからです。

今回問題にしたいのは一般に、従来の比較的高品質だった料理が、徐々に劣化しているという流れです。つまり手間を惜しむことによって、時間を掛けないことによって、美味しいものが無くなって行っているということです。

言い換えれば集客を、料理の品質から別のものに移行した店が増えていると言ってもよいでしょう。

実際、料理の品質は効率化という名の下で、徐々に徐々に劣化していると感じます。美味しい店が減ったと感じるのは私だけではないと思います。効率化を繰り返せば、劣化の度合いが増し、例えば効率化の結果、従来の八割の品質になったとして、更に効率化して八割の品質になれば、従来の六割四分となります。

本当に効率化!?

品質が失われるのなら、効率化とは呼べないと思うのですがいかがでしょうか。

同等の品質が担保されてこその効率化だと思うのです。

とは言え、品質を犠牲にし、効率化した店舗が後を絶たないのは、例えば冷凍食品をフライヤーに放り込み、多少の加工を加えた料理を美味しいと感じる人々が増えつづけているということなのでしょうか。それともそのような店はいずれ淘汰されるのでしょうか。

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