企業が次のステージに進めない理由|分かっていない経営者

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次のステージ
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中小企業が次のステージに進めない理由

創業者の多くは、

創業して数年、事業も軌道に乗り、規模の拡大をして行きたいが、営業所や店舗を新たに出しては見たものの、売上こそ伸びたが、利益は期待したほどは増えない。それどころか、利益率でみればむしろ減少してしまった。

これと似た経験しているか、これから経験するのではないかと思います。

もちろん、何事もなく、すんなりと乗り越えられる優秀な経営者も多々居られるかと思います。

このような状況を迎える段階における会社の規模は、業種、業態等により、差はありますが、この時こそが、これまでの経営の延長線上では、どうにもならないと気付く瞬間だと言えます。

創業時の特徴は

  • 社長が全てを把握し、決定している。
  • 営業、現場など顧客と直接接触する部門だけを重要視する。
  • 知恵より労力に重きを置き過ぎる。

が挙げられます。

次のステージに進まなければいけない頃には、創業者が全てを把握するには既に規模が大きくなり過ぎています。業務が必要以上に繁雑になっているのです。その為、それまで以上に、管理部門の重要性が高まります。

これまでは、管理部門は1人若しくは2人くらいで、全てを受け持って居たでしょう。それが、ある程度、組織化されることが求められるようになります。

それというのも、人の問題、金の問題、顧客の問題などなど、社長がつまびらかに把握していたところに、目の届かないところが出てくるからです。

このことは、共に働いてきた従業員にも影響を与えます。それまでとは異なり、社長が即座に決裁できない状況に出くわすからです。

管理部門の擡頭たいとうが企業発展の鍵

これまでは全てを社長に相談すれば、結論が出ていました。

ところが、判断を仰ぐ材料(資料)を提供するという手続きが必要になってきます。

そのことで、例えば、営業先から、電話一本で社長から承諾・決済をもらって、進めていた業務が、事前に資料を揃えて、了解を取るというプロセスが入ることになり、これまでには求められなかったような計画性が必要になります。

こうして、これまで行き当たりばったりで、何とかだまだまし進めていた業務も、手続きや手順を意識しなければ、円滑には進まなくなって来るのです。

これらを整え維持していくのが、管理部門の役割です。

管理部門に求められることは管理ではなく企画

管理業務は、もちろん労力の掛かるものではありますが、ステージが変わる段階においては、通常の労力に加えて、知恵、特に企画力が重要になってきます。

業務全般にわたる仕組みづくりといった業務改革が必要となってくるからです。

業務改革は、極めて難易度の高い仕事です。

全体の流れを把握した上で、仕組みを構想し、それを実際に定着させなければならないからです。従って、知識・経験だけでなく、高いコミュニケーション能力と高い課題解決能力が求められます。そこで、相応の経歴キャリアを持った人材を招聘しょうへいする必要が出てきます。

管理部門の重用が業務改革推進には重要

ここでは敢えて招聘しょうへいという言葉を使いました。一般に、叩き上げの会社では、管理部門の人材が軽んじられる傾向にあるので、そこを正す意味もあります。また、役割からいっても、社長とスクラムを組む位置づけ、いわば社長のパートナー的な位置づけで、仕事をすることになります。

営業、現場といったフロントオフィスを偏重へんちょうしてきた社風の中で、バックオフィスが同等以上であるという文化を醸成じょうせいしつつ、業務改革を推進しなければなりません。これは社長の役割です。

社長は、業務改革においては、常に最大の後ろ盾とならなければなりません。そして任せる仕事に相応の待遇を考える必要があります。ここのところが分からない経営者の下では必要な人材は働きません。

何年も足踏みを続けている状態が続くのなら、社長自身の心掛けに問題があることを疑った方が良いでしょう。ところが、それはワンマンで会社を引っ張ってきたという自負のある経営者にとって難しいことです。

営業部門と管理部門では異なる報酬の考え方

営業思考の社長ですと、よく「成功したら、厚遇します」と言いますが、それは、患者が医師に「病気が治ったら、治療費は払います」と言うのと同じです。病気の体[課題山積の会社]を診断してもらい、処方箋[改革案]を出してもらうのですから、処方箋が出た時点で、相応のノウハウは提供してもらっているのです。

病気が治らなかったならば(改革がうまく進捗しなかったならば)、新しい処方箋[改革案]を求めるものなのです。言い方を換えれば、その診断者の出す処方箋[改革案]に信頼が置けないならば、そもそも他を当たるべきです。それは相手が経営コンサルタントでも同じです。

長年に亘り、フロントオフィスを偏重してきた経営者にとっては、ここの意識の切り替えが最大の難関です。これが切り替わらず、バックオフィスに優秀な人材が居付かないという状況がよくあります。

業務改革が成功したら対価を支払いますという考え方の経営者の下では、業務改革は成功しません※し、業務改革のスキル・ノウハウを持った人材ならば、そんな社長の下では働かず、他の会社を選びます。

※ 例えば、業務改革の旗振り役が、月給30万で雇い入れられた場合と、月給60万で雇い入れられた状況を想像してください。

月給30万ならば、他の従業員らにとって自分たちと同等という見方になるでしょう。ところが月給60万であれば、この人は自分たちとは違うのかなと思うことでしょう。

給与支給額は公開すべきではありませんが、厚遇されているか、冷遇されているかは何となく感じ取るものです。それというのも、給与支給額によって、その人に対する社長自身の応対や態度が、つまり雇い入れた人をどう扱うかが変わってくるものだからです。

新卒だろうが、中途採用だろうが、入社したからには下からスタートと決めている中小企業があります。経験も実力もある人が、そんな扱いを受ければ、入社したとしても不信感が急速に大きくなります。従って、実力通りの仕事はしないでしょう。それなりに役に立つように見えても、本人としては降りてしまっているということは往々にしてあるでしょう。

中小企業の中小企業たる所以は、このように有望な人材を活用できず、飼い殺ししてしまうところにあるのです。

社長自身がキーマン

社長が大切に思わないものは、従業員も大切に思いません。この意味においても、社長自身が次のステージに進めるか進めないかの最大の鍵です。次に進めない理由を従業員に求めても意味がありません。

先ずは、これまでのやり方にあった心地良さには安住しないという社長自身の固い決意が必要なのです。