不明確な前提条件|論理的に正しいのに理論が機能しない理由

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理論的には正しいのに上手く機能しないのは何故!?
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理論が機能しないのは前提が欠けているから

理屈はその通りだけれども・・・

理論的には正しいと思うけれども・・・

と言った枕詞まくらことばもちいられることがしばしばあります。この言外げんがいの意味は、物事は理屈や理論の通りには進まないということです。しかしながら、本来は、理屈や理論通りに物事は進むはずです。

それでは何故、理屈や理論が論理的に正しいのに、物事が理屈や理論通りに進まない、理屈や理論が機能しないかの如く見えるのでしょうか。

理由は簡単です。上手く進まない現状では、その理屈や理論が成立するための前提が備わっていないのです。言うなれば、理屈や理論が不十分なのです。

前提が細分化され新しい理論が生まれる

これは必ずしも理論が稚拙ちせつだからとは限りません。例えば、十分な前提であったとしても、条件を更に細分化しなければならないといったことが起こるからです。それまで通用していた理論が、何らかの必然性から、前提条件が更に細分化され、一定の条件では成立しないことから、汎用的でなくなり、それを包み込む大きな新理論に呑み込まれ(包含され)ます。

従って、いずれにせよ後から新しい理論が現れるのは、前提が更に細分化されることが可能だった場合です。

自然科学を例に採れば、ニュートン力学の前提が更に細分化され、相対性理論が現れたと言っても良いでしょう。その意味において、今日においてもニュートン力学は正しいのです。

前提条件の拾い尽しが担保されることはない

仮説には常に前提条件が必要であり、その前提条件を全てを拾い尽していることは決して担保されません。これが自然科学に限らず、科学が真理に到達できない理由でもあります。科学の限界です。

課題解決の糸口のひとつとしての前提条件の検証

理屈や理論が論理的に正しいにもかかわらず、それが機能しない場合には、その理屈や理論の前提条件を精査することが解決の糸口になり得ます。何か勘案していない要素はないだろうかと調べてみることです。前提していることに誤りがあることもあり得ます。

暗黙の前提の検証

前提というのは、往々にして、当たり前にと考えていることが多く、その存在にすら気づかなくなっていて考えてもいないこともよくあります。この暗黙の前提が人によって異なる場合も多く、判断事項は複数の人間で揉むのが良い理由でもあります。つまり、ある人には暗黙の前提でも他の人にとっては暗黙でない場合もあり、その前提を認識することが出来るということです。

結論として、理論の正しさを担保するものは論理の正しさだけでなく、正しい前提条件も必要です。

論理の正しさだけでは、理論の正しさは担保されず、暗黙のうちに前提としてしまっているもの洗い出し、精査することで現実に機能する理論を導き出せるということです。

制約条件との兼ね合い

理屈は役に立たないという人は、思考のトレーニングを受けていないか、直感的に或いは直観的に方策に気づくのだと思います。

携わる内容によっては、論理で追いかけるよりも、感性を優先し、直感に頼った方が良い場合があります。多くの場合は、時間との兼ね合いになります。