何故、赤字でも半額セールを行うのか!?
大手コンビニエンスストア「ファミリーマート」の1店舗で半額セールが行われていることが話題になっているようです。
舞台は東京都八王子市です。
半額セールでは、恐らくほとんどの商品は赤字になると思うのですが、何故、赤字でも半額セールを行うのかを考えてみたいと思います。
飽和状態にあるコンビニ業界
現状ではコンビニエンスストア業界は出店に次ぐ出店で飽和状態にあります。
店舗数は、昨年(平成26年)11月時点で、51,720店舗(前年同期比で5.2%増加)です。
売上は、新規店舗を含む全店ベースでは、約8010億円(前年同期比2.8%増加)で、21か月連続のプラスですが、一方で、既存店ベースでは、7,269億円(前年同期比1.7%減少)で、8ヶ月連続のマイナスとなっています。
(データ:日本フランチャイズチェーン協会)
つまり、業界の売上増は、新規出店によるものであって、既存店は、新規店によって一部マーケットのパイを奪われていることが分かります。
自店舗近くに新店舗は来て欲しくない!
自店舗の近くに、新規店舗が出来ること、これは自店舗の売上減を意味します。
マーケットのパイに限りがある以上は、近くに新規店舗が出来れば、当然、これまでの顧客を幾らかは奪われるからです。
従って、近くに他店舗が出来ることは、好ましくなく、可能ならば避けたいことのはずです。
半額セールは出店の抑止効果
今度は、新規店舗を出すに当たっての、フランチャイザーとフランチャイジー(店舗オーナーになる人)の心理を想像してみてください。
ということです。
半額セールはいつも行われているわけではありませんが、一度(ひとたび)半額セールが始まれば、その期間中は、ごっそりお客を持っていかれてしまいます。
もちろん、半額セールを行っている当該店舗にとっても、赤字は痛いことです。
そうは言っても、年間を通じて、余力の範囲内で定期的に半額セールが行われれば、仮に新規店舗を出したとしても、少なくともその期間の売上減少は免れません。
仮に徹底抗戦の構えで、半額セールに対抗するにしても、その為のコストがかかります。その金額は決して小さくはない筈です。
従って、半額セールを行う当該店舗の商圏外の方が、経営上有利だという判断にならざるを得ません。敢えて火中(かちゅう)に飛び込む必要はないのですから。
こうして新規店舗の候補地を探すオーナーやフランチャイザーは、この半額セールを行うコンビニエンスストアの商圏を避けるでしょう。
半額セールが広まると展開は大きく変わる!
仮にこれに追随する動きが出てきた場合、異なった様相を呈してくることが予想されます。
何故ならば、半額セールによる試みは、言うまでもなく、消耗戦だからです。
そうなるとフランチャイザーも本腰を入れて対策を練らなければならなくなってくることでしょう。
これが単発的に終わるのか、それとも大きな動き(ムーブメント)にまで発展するのか、見ていきたいと思います。
※ 記事掲載後に見た情報によると、事態は急展開した模様です。
※ この記事内容は、ちょっと穿った推論だったでしょうか。(1月20日)
※ ロジックは参考になると思われるので、記事は残しておきます。(2016年1月21日)