人材流出の一つの理由|と或るラーメン店でのこと

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ラーメン店

業界毎に特有の労働環境というものはあるのでしょうが、飲食店の労働環境は際立って異質です。

特に所謂、サラリーマン(ビジネスパーソン)などの感覚からすると、驚きの連続でしょう。

特に労務管理のあり方には驚かされるのではないでしょうか。

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人材確保が発展の鍵を握る飲食店業界

飲食店の経営は、人材確保が重要です。

その人材をどのように確保するかが、商売の行方を決めます。

多店舗展開したいという飲食店経営者は少なくないです。

実際に、オーナーに聞いても、

人材がいれば、直ぐにでも2店舗目を出せる。金はある。

という答えが返ってきます。

多店舗経営できるお店はどこが違うのか考えて行きたいと思います。

或る老舗系ラーメン店でのお話

老舗系ラーメン店の流れを汲む独立店でのお話です。

入店してまもなく、店舗のオーナーが驚くべき話をしたのです。

兄弟子あにでしが何人か居たのですが、一番上の兄弟子は、これまでに10人以上辞めさせたというのです。

それも

彼は厳しいからね!

とさらりとです。

人が辞めていく組織長は評価されない

会社であれば、所謂ブラック企業も増えているのでなんともいえない部分ではあるのですが、下の人間を辞めさせるような上司、先輩は、一般に評価されません。

してや10人以上と特筆されるような場合は尚更です。人を育てるのが、上の者の務めであり、それが規模の拡大や実務の効率化に結びつくからです。

職人文化の悪しき慣習

ところが、兄弟子あにでし弟弟子おとうとでしに辛く当たり、弟弟子おとうとでしが辞めていってしまうのは、職人文化と呼ばれるところでは、意外と多いようなのです。

その「当たり」を和らげるため、お目こぼしをしてもらうために、

兄弟子が出てくる時間に来て、差し入れするといい。彼は差し入れに弱いから・・・

などとアドバイスもありました。

それもオーナーからです。

これらは文化の違いなので、恐らくは「そんなの当たり前だよ!」という声もあるかと思います。

2番目の兄弟子からも同じようなアドバイスがありましたから。

これは職人文化、或いは或る種の職人文化の一端なのでしょう。

先日、改めて飲食経験者から、歓心を買うためにしばしば差し入れを買ってくるような人・行動は見られるとの話を聞きました。(追記 平成28年6月29日)

職人文化が人を遠ざける

このような職人文化の一部分が、飲食店勤務希望者のかなりの人々を遠ざけているのではないかと思うのです。

現代のようにフラットな(平らな)組織が求められ、コーチングなど人々の自発性・自律性に働きかけることが求められている世の流れの中で、あまりに封建主義的、権力主義的です。

ここのお店では、仕事は人から奪うものと定義付けられていました。次の仕事を手に入れるためには、人を押しのける必要がありました。それが嫌な場合には、そこが空くまで、つまり前任が辞めるまで待つしかありません。

職人文化を乗り越えて発展するお店

一方で、飲食店の中でも暖簾分けを繰り返しながら、順調に店舗を増やしているお店もあります。

売り上げ平均は一店舗当たり一千万円超だそうです。

このお店については、次回にお話しします。