天下りではないですけれども、社長や役員などの縁故等で、元大手企業役員といったような看板を引っ提げて現れ、顧問に代表されるような何らかの役職(以下「顧問」)に就く人がいます。
顧問といっても役割は様々で、ただ社長の茶飲み友達として居座り、年金のように月給を貰っているという人から、顧問といいつつも、実戦部隊で采配を振るったり、完全に現場戦力として組み込まれる人もいるでしょう。
役に立つ顧問と役に立たない顧問
今回は、他社から現れた経験豊富な顧問が役に立つ場合と役に立たない場合、というよりもむしろ害になる場合についてお話しします。有用性の分かれ目は、意外にも顧問の経験や能力の
多くの場合、経験や能力などを買われて入社してきているわけですから、一定水準の経験や能力はある場合が一般的です。それでは何が役に立つか役に立たないかを決定づけるのでしょうか。
必要なのは経営や業務にしっかりと嵌 り込む覚悟
実は非常に簡単なことです。役割によって異なりますが、顧問が経営や業務の
これまでに何度か触れてきたことではありますが、経営には様々な
経験を活かすためには、これらパラメーターを精査し、現状に合わせていかなければなりません。正しい影響力を持つためには、まずはその会社の置かれた経営環境をきちんと見極め、その会社自体をきちんと見つめなければなりません。これは相当骨の折れる仕事です。一兵卒で入るのと異なり、顧問として入ると中々、実情は分かりません。従業員たちに、自分らの仲間だと認めてもらえなければ、本音は出てこないでしょうし、真実は見えないでしょう。
見られている真剣さ
従って、顧問がその会社にどこまで真剣に関与するつもりがあるのかにかかっています。従業員らは、顧問が腰掛なのか、本気なのか、必ず見極めます。腰掛には、愚痴をこぼすことはあったとしても、本音を洩らすことはないでしょう。従業員たちに本気であることを認めてもらうところがスタートです。
まずこのスタート地点に立たないで、自分の経験や知識を語ることは迷惑な場合が多いです。もちろん、一般論として勉強になることは多いでしょう。しかしながら、これを現状に当てはめようとすると、必ずと言って良いほど問題が起こります。実務や経営は、一般論ではなく、個別的なものだからです。先に触れたように或るパラメーターが異なれば、他に用いるべきパラメーターも変わってくるのです。
言いっぱなしが最大の害悪
これらを勘案することなく、言いっぱなしが意外と多いように見受けます。社長や役員などは、有効性を知ってか、知らずか、若しくは顧問の顔を立てたいのか、真に受けて従業員に指示します。これがトラブルの源になることが多いのです。
経営や業務における処方箋は、きちんと実情を見極めた上で、出さなければなりません。医師が、薬の処方箋を、病歴やアレルギーなどを確認した上で出すのと同じことなのです。
企業の実態、会社の実情をきちんと見極めることは容易なことではありません。顧問、例えば経営顧問であれば尚更です。見極めなければならない要素が多いからです。
覚悟に相応しい身の振り方をきちんと考えよ
腰掛で入社したのなら、社長の茶飲み友達として入社したのなら、分を
一般に、老害と評されるのは、現状、実態の見極め(パラメーターの見極め)が出来ず、経験や理論をあたかも現状に適した処方箋であるかのごとく語られた場合が多いのではないでしょうか。
役に立つ存在になるためには、相応の覚悟が必要なのです。先に、「顧問が経営や業務の行方に責任を持つ気持ちがあるかどうか」と触れたのは、その気持ちが有れば、実情の見極めもきちんと行われるだろうからです。
覚悟を決めて、真剣に関与するのであれば、歓迎されるに違いありません。もし歓迎されないとすれば、また更に別の要素を疑ってみる必要があります。
※ 例えば ¶ 管理職が上手く機能しない理由|管理の対象は業務であり、人ではないで触れられている内容などを熟考する必要があるかもしれません。顧問という立場での着地はそう簡単ではないと思います。
軽々しく老害呼ばわりしてはいけない
老害という言葉は好きではありません。
年老いてなお盛んな人もおります。
衰えが見られることもあるでしょう。けれども実際は、異なった前提で物事を考えていることも多いのではないでしょうか。所謂「老害」というよりは、単にお年を召されているから老害呼ばわりされているだけで、本質的には年齢の問題ではない場合が少なくないと思うのです。
真剣に取り組むというのであれば、誠実に応対するのは当然のことです。