ポケモンGO現象|提供者の社会的責任

スポンサーリンク
ポケモンGO
スポンサーリンク

ポケモンGO現象

ポケモンGOを巡る無数のトラブル

7月22日から配信が始まったポケモンGOに関わるトラブルが絶えないと言います。

配信早々に日本国内で・・・

報道によれば>> ポケモンGOしながら運転 全国で事故36件|NHK NEWS WEB 「ポケモンGOの配信から25日午前11時半までの4日間に、ゲームをしながら、車や自転車を運転していた人による交通事故が東京や栃木など11の都道県で36件」も起こっており、このうち4件ではけが人が出ているとのこと。またスマートフォンを操作しながらの運転などで検挙されたケースは71件に及ぶとのこと。他にも数々のトラブルが起こっているとのことです。

国内配信に先立ち海外で・・・

日本でのアプリ配信に先立ち、海外でのポケモンGOを巡ってのトラブルが多数報告されておりました。

>> 「ポケモンGO」海外でトラブル相次ぐ 日本でも注意喚起|NHK NEWS WEB によれば、中西部ミズーリ州では、このゲームの機能を使って、人けのない駐車場に集まってきたゲームのユーザーを脅して現金などを奪い取る事件が起きたことやゲームの画面に集中するあまり、周りに注意を払っていなかったユーザーが、スマートフォンを強引に奪い取られる事件が起きたことが報道されています。

以上が全てではありません。引用した記事の中にはまだまだ発生したトラブルや事件について言及されております。掻い摘んで見て来ただけでもこれだけのトラブルが発生しているのです。

現時点でのポケモンGOは大きな問題を抱えています。

ごもっともな中国の懸念

日本でのポケモンGO配信開始に先駆けて、>> 中国でポケモンGO脅威論、「非公表の軍基地探査も可能」|ロイター通信が報道されていました。珍しいキャラクターを、プレーヤーが入ろうとしない地域に配置し、誰も探しに行かないようなら、そこはアクセスが制限され、軍事地域である可能性が推測できると記されています。

世界地図上で、人々が行き来する土地と人が全く行き来しない土地が区別されるということを指摘しています。これは確かに大きな脅威でしょう。

軍事施設が推定される根拠になるのは大きな問題ですが、市民には別の問題が隠されています。

不法侵入の脅威

軍事施設が地図上で推定される根拠となり得るのは、ポケモンがたとえ発見されたとしても、侵入を力で阻止することができます。一方で、軍事力などの抑止力を持たない土地一般では、ポケモンGOユーザーの不法侵入の危険に曝されることを意味しています。戸建てに住んでいれば、いつ何時、自宅の庭に不審者が侵入しないとも限らないということです。

私有地にポケモンを発生出現させることの是非

そもそもヴァーチャルな世界(仮想現実世界)とは言え、私有地に許可なくポケモンを発生させるのは良識に反すると考えるのですが如何でしょうか。

不法侵入の教唆

GPSを使ってリアルワールド(現実の世界)に紐づけされることが分っており、私有地などへの侵入を促すことは明らかだからです。不法侵入の教唆(きょうさ)の責任は問われないのでしょうか。

現代社会の実相に鑑みると、ポケモンGOへの熱中や中毒症状は十分に予見することができ、また、世の中全般の規範意識や倫理観の体たらくを考えると不法侵入やポケモンGOが惹き起こす犯罪の可能性は十分に想定できることだからです。

少なくとも私有地に関しては、社会通念に照らした場合、所有者の許可を取ってポケモンを発生させるのが筋なのではないでしょうか。

共有地であろうとも価値観は千差万別

人によって、宗教観によって、或は様々な価値観によって、土地の持つ意味が変わります。或る人にとっては神聖な地で荘厳に感じられ侵されたくないところであったとしても、他の人々には、それが分からないということは往々にして起こるものなのです。

自由を謳歌することは構わないのですが、他の人々の自由を侵害する可能性が有る場合は慎重になり、他の人の自由を冒す行為は厳に慎まなければなりません。

提供企業の責任

書籍「この国の冷たさの正体(和田秀樹)」では、企業が依存症患者に責任を持つことの必要性を訴えています。

同書で依存症に関する興味深い記述がありました。

なぜアメリカでは訴訟が成立するのでしょうか?タバコや酒が身体に悪いということを商品や宣伝で表示するというのは日本でも行われていますが、アメリカでは依存性の強いものを販売している以上、身体を害することになれば、その企業が責任を取るというルールができているのです。

(中略)

日本では依存した被害者が自己責任を問われ、売る側はおとがめなしなのです。

今後については、海外と日本は異なった展開を辿るのかもしれません。

同書ではスマホ依存に触れています。特にスマートフォンによるネットゲーム依存について深い懸念を呈しているのです。

現在は国内外の社会で、ポケモンGOに熱狂しており、同書のネットゲーム依存の懸念と轍を一にしていると言って良いでしょう。

これは全ての人が熱狂しているという意味ではありません。たかがスマートフォン用アプリの1ゲームで、ポケモンを「全部捕まえた」ことがCNNで報道される状況であることを表現しています。

需要は需要創造を必ずしも是認しない

社会に対して需要を創造し商品・サービスが受け入れられることが、その需要創造を是認したことを意味しないことを、過去記事 >> 需要の創造は必ずしも正しくない|現代社会の病理の根源を探るで指摘したことを改めて記します。

ポケモンGO配信の見切り発車を見るにつけ、需要創造の惹き起こす社会の変化に対する企業の責任を改めて認識したいということです。


アイキャッチ画像については「『Pokémon GO』公式サイト」のスライド画像をキャプチャーしトリミング加工したものです。