フェイルセーフ|行動に変化をもたらす言葉

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フェイルセーフ

知っているのと知らないのとで、行動に変化を与える概念があります。

例えば、点検。

点検という概念を念頭に置き、外出前に必ず所定の箇所を網羅的に確認して回ることを心掛けているのと、思い付いたところを確認して出掛けるのとでは大きな違いがあります。

何となく分っているつもりであるのと、はっきりと認識して執り行うのとでは長期で見た場合には必ず結果に大きな違いが現れます。

常に点検しているのと、点検していないのとでは、事故の起こる可能性が大きく変わることに疑問はないでしょう。

点検を例に挙げましたが、他にも知っているのと知らないのとでは、行動が大きく変化する概念にfail safeフェイルセーフという言葉があります。

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fail safeフェイルセーフ

今回ご紹介するfail safeフェイルセーフも、この言葉を知る以前と以降とでは行動に変化が現れることでしょう。ひょっとするとフェイルセーフという言葉は知らないまでも、概念自体、つまりその意味内容自体は既知であり、常日頃から意識しているという方が居られるかもしれません。

概念と名称

そんな方々にとって今回の話は、既知の概念に明確な名前を与えることで、他の人に意味内容を伝達しやすくなります。

自らが認識している概念に明確な名称が付与されていない場合、自らはそれを意識できても、それを他人に伝達するには、きちんとした説明が必要となります。

幸いにして今回お伝えしたい内容にはフェイルセーフという言葉がありました。

工学系術語としてのフェイルセーフ

Wikipediaに当たったところ、工学系の術語のようですが、お伝えしたい内容は、工学分野に留まりません。今回はこのフェイルセーフという単語を手掛かりに話を進めたいと思います。

フェイルセーフ

なんらかの装置・システムにおいて、誤操作・誤動作による障害が発生した場合、常に安全側に制御すること。またはそうなるような設計手法で信頼性設計のひとつ。これは装置やシステムが「必ず故障する」ということを前提にしたものである。

(出典:Wikipedia

日常用語としてのフェイルセーフ

フェイルセーフという言葉を初めて聞いたのは25年以上前のことです。大学受験予備校の数学講師の一人が、授業の中で教えてくれた言葉でした。

何か予想外の危機に陥った時、慌てずに対処できるように、予め備えておくことと云った説明だったと記憶しています。

同講師はダイビングをするとのことで、足が網など障害物に取られ浮上できなくなった際を例とし、不測の事態を予め想定し、対策を講じておく、対処法を用意して置くことが危険から身を守るために必要であるという内容でした。

ここで大切なことは、ダイビングの際に普段からトラブルが発生しているわけでは無いということです。通常は何ら問題なくダイビングを楽しめているのですが、不測の事態は起こるものということを前提にしたもの、先の説明に拠れば、「装置やシステムが『必ず故障する』ということを前提にしたもの」ということです。

講師のダイビングでのフェイルセーフの考え方は、水中での事故遭遇に限らず、日常生活にも広く応用が利きます。勿論、大学受験予備校の講義ですから、入学試験時への適用も示唆されています。

応用を例示しましょう。

物事は順当には進まない

試験当日、時刻表を調べ、多少の余裕を持って試験会場に到着する予定を立てるだけでは、フェイルセーフが考慮されているとは言えません。

例えば、電車の遅延の可能性が有ります。また都市部であれば、通勤ラッシュの混雑の影響で駅構内を予定通り通過できないことがあるかもしれません。

物事が順当には進まないという前提で、不測の事態に備えるのです。そうすればフェイルセーフを考慮したことになります。

フェイルセーフ勘案のプロセス

知っているのと知らないのとでは行動に影響を与える概念の一つとして紹介しているフェイルセーフですが、その行動の変化に焦点を当てましょう。

何か必要なプロセスを考える時、順当に進む形以外の可能性を勘案します。

予め備えられる場合には備え、場合によっては他の選択肢を検討します。

何かトラブルが生じても、予め順当に進まないことを考慮して準備しているので、その準備範囲内で対応できることが多くなります。

一方で、準備範囲内に収まらない事象が起こったとしても、順当に進むことしか考えていなかったことに比べ、順当に進まないこともあるという覚悟は言うに及ばず、予め備えてあることで応用できることも多いでしょう。

準備範囲内に収まらない事象が起こることを避ける為には、事前検証で網羅性を意識し徹底します。事前検証で網羅性を意識するとは、携わる事柄に係る全てについて検証するということです。

数学の証明問題でお馴染みの場合分けを想像すれば良いでしょう。プログラミングに馴染みのある方であれば、例外処理を想像すれば良いかもしれません。最終的にユーザーであるあなたに何らかの手立てを示す手続きが必要なのです。

フェールセーフと費用対効果

フェイルセーフも安全対策という意味に於いては、人道的見地から、費用対効果は無視されなければならないこともあります。

具体的にお話ししましょう。

費用対効果の馴染まない分野

工学分野では、何を以ってしても安全を確保する、或いはその装置の使用を断念するかからの択一であることも多いだろうからです。

分りやすい例を挙げれば、仮に新型飛行機があったとして、従来の期待よりも速度は速いが一定の確率で墜落するとすれば、安全対策を講じて墜落のリスクを無くすか、その飛行機の使用を断念するかのいずれかになるということです。

二者択一

一定確率で墜落するという想定では、順当に墜落するということなので、フェイルセーフ以前の問題ではあるのですが、お伝えしたいことは、順当に行かなかった場合に、死亡事故に繋がる、死亡に至らないまでも深刻な疾患や障害に繋がる場合には、十分な安全対策か使用の断念かの択一となるということです。

ところが、近頃頻発する事故では、フェイルセーフの概念がすっぽり抜け落ちているか、費用対効果を重視するあまり、本来行わなければならない十分な安全対策か使用の断念かの選択をうやむやにし、フェイルセーフで必要な安全対策を行わず、使用しているのではないかとの疑念を覚えます。例えば原子力発電所関連です。経済効率を優先するあまり人身の安全、人命を軽視しているのではないかという疑いです。

社会の価値観が、経済に傾き過ぎている、経済至上の考え方が支配的で有ることの顕れとも言えるでしょう。

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