経営者の自己満足
組織文化、企業文化、会社文化についてお話していきます。前三者について今回は特に区別しません。企業文化とは、経営者などが「よくうちの会社は・・・」と話されるような経営理念や経営者の理想を表現したものではありません。
かつてある会社でパートナーシップ経営を謳っていました。従業員のある人が社内報にパートナーシップ経営について書いた作文が掲載されました。それを見た他のある従業員がぽつりと呟きました。
まだこんなこと書ける人がいるんだね。実際は社長の独裁なのに。
執筆者は最近採用された中途入社の従業員で、ぽつりと呟いたのは何年か働いている従業員です。
この会社ではパートナーシップ経営を標榜してはいますが実態は異なるということです。
宣言したところで定着しない経営理念や企業文化
ここで経営者が、うちはパートナーシップ経営の会社なんだと声高に叫んでも意味はありません。恐らく実際に、意見や反論を受け入れることなく、独り社長が全てを決めていくという文化が定着しているのでしょう。
パートナーシップ経営がどういうものであるかは別としても、少なくともそれを文化として定着させていくには、組織の成員自体にも一定の資質が求められるだけでなく、組織の運営にも配慮が必要で、それら諸々を経て文化として
本音と建て前
経営者が望む文化になっていかない理由が、経営者が
採用段階で勝負はついている
組織運営の仕組みなどは後から作り上げるものですが、組織の成員は採用の段階から始まります。荒くれ者を集めて、緻密で繊細な組織文化は醸成できないのです。
組織論だけではないのですが、一般の経営理論やビジネスノウハウなどなどは、それを活用する側がどのような存在であるかについてあまり考えられていないように思われます。若しくはある典型が暗黙の
どうやらせるかが問題になる職場
¶ どうやるかが問題となる職場とどうやらせるかが問題になる職場(平成27年10月28日掲載)で言う「どうやらせるかが問題になる職場」では、一般に規範意識に乏しくルールが守られませんから、方法論を議論したところで不毛なのです。従って、管理側としては、作業員でしかない組織構成員をどう扱うかといった観点で方法論は考えざるを得ないのです。少なくともこういった職場は想定されていないことがほとんどです。(追記 平成28年7月月5日)
従業員が冷ややかなのには理由がある
しばしば経営者などが、カリスマ経営者の書籍などを読み、会社に応用しようとして、従業員らから冷笑されることがあります。その主な理由がここにあります。自分の会社の実態が見えていないので、明らかに合わない経営手法や理論などを当てはめようとしてしまうのです。
前回の記事 ¶ 非公式なコミュニケーションが無ければ組織はただの箱|非公式なコミュニケーションこそ組織力の源泉でお話しした
おママゴト
組織、経営が稚拙なうちは、チューニングとも言える微調整にこそ必要な高度な理論、高邁な理論は必要ありません。組織の実態を見ること、知ることの方がはるかに有益です。このことは、財務などでも同じことが言えます。財務指標などを追いかける前に、実際の数字の流れを追いかけることが重要です。
私は経営実態に合わない高度な理論や指標をもて遊ぶことをママゴトと呼んでいます。