こんな人には相談しても参考にならない|前提条件の無理解

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井の中の蛙
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そんなつもりで聞いたんじゃない!

ちょっとした情報通と思って相談したところ、思いもよらない答えが返ってきて

そんなつもりで聞いたんじゃないんだけどなぁ

このように思った経験がある人は少なくないでしょう。

半可通(はんかつう)

意図せざる回答が返ってきて当惑するのは、半可通に相談した場合が多いようです。

勿論、相手が半可通でも、有意義な意見が聞かれることはあります。

有意義な意見が聞かれる場合と当惑させられる場合とは、どこが違うのかを探ってみましょう。

例:家系ラーメンで新規出店しようとする人が相談

ラーメン店を新規に開店しようとしている店主が居るとしましょう。

仮に吉村家を総本山とする家系のラーメン店での修行を終え、新たな屋号「福永家」として大阪で開店しようとしているとします。

試作のラーメンをラーメン通と言われていた知人に食べてもらい意見を求めたとします。

参考になる場合

この時の答えが、

家系ラーメンには精通していないけれども、食べた中では美味しいよ。

であり、味の印象などを事細かに聞かせてもらえれば、参考になるでしょう。

参考にならない場合

一方で、

横浜ではよくある味だよ。全然、珍しくない。
そもそも家系ラーメンは僕には美味しいと思えない。

であったらどうでしょうか。

参考にならないですね。全く以って取り付く島もない感じです。

当人としては、独自のラーメン観が有り、それに自信を持っているのでしょうけれども、試作のラーメンを提供した側からすれば、横浜によくあることは当然の知識ですし、求めている内容に全く答えてもらっていません。ただ言いたいことを言っているだけに映ります。

参考になる・ならないの分かれ目

回答の違いは、この知人が味見を依頼している店主の意図、試食の前提条件を理解しているか否かの違いです。

前者が、家系ラーメン店として大阪で出店しようと意図していることをきちんと理解し、それに応えようとしているのに対し、後者では、意図を意に介していないということです。

要するにコミュニケーション能力の欠如に問題があるといって良いでしょう。

意図を理解していれば・・・

意図を理解しているのであれば、答えは自ずと変わってくることでしょう。

家系ラーメンは僕の好みで無いから参考になるか分からないけれど・・・

で始まり、気付いた点などをフィードバックすることでしょう。そうすれば、それはそれで参考になるのではないでしょうか。

また、実際のところ口に合わなかったなら、

家系ラーメンが好みで無いからかもしれないけれど、豚骨臭が気になったよ。

と付け加えても良いかもしれません。

依頼者はあくまでも商品化に当たって、忌憚ない意見を求めているのですから、コンテクストに合った事実に即した回答を期待しているものだからです。

ここまではラーメン店の話なので、具体的で分かり易いと思います。

尊大な姿勢に喝!

会話の食い違い、ちぐはぐな会話というのは、お互い違うところを見ていることで起こります。

また自分が見ている世界が矮小であるにもかかわらず、己を過大に評価し、相手の知識や見識を侮ることによっても起こります。自分の視界を全てと勘違いして、世界の広がりを知らないのです。所謂、井の中の蛙です。

ラーメン店の例で言えば、ラーメン店を出そうという人を、単にラーメン好き、それも半可通程度の知識に劣ると暗黙の裡に考えていること自体がそもそもの間違いです。

実際に試作品もできており、出店計画もあるわけですから、相手は相応の準備をしていると考えるのが一般的な感性ではないでしょうか。

そもそも何を求められているのかも自覚しないで不用意な発言、それも否定的な言葉を口にすることは軽率と言わざるを得ません。

試作品を作っている相手に、それも商売の中心に据えようとしている家系ラーメンそのものを否定するような発言をするならば、明確な意図を意識すべきところです。

己の制約条件を自覚せよ

良識があれば、自分自身の持つ例えば知識的制約条件を挙げた上で、口を開くことでしょう。例えば先の「家系ラーメンは僕の好みではないから参考になるかどうかは分からないけれど・・・」と云った具合です。

自分の認識している世界が全てでは無い

昨今、ウェブ上のコメント欄や掲示板に氾濫している不愉快な書き込みも、井の中の蛙が大言壮語しているからです。根は自己の制約条件について無自覚であり、自意識を徒に肥大化させているということです。言い換えれば、無知ゆえに井の中を海と同一視しているのです。

「井戸の中≠世界の全て」という認識

井の中しか知らないけれども、海の存在、つまり井戸の外側の世界の存在を意識するだけでも、変わってきます。要するに、自分が見ている井戸の中と異なった世界の存在、つまり、相手が見ている世界は必ずしも自分の見ている井戸の中とは同一のものでは無いかもしれないという健全なる懐疑心です。

相手と同じ世界を共有すること、相手の意図を明確に理解し答えることは、対話成立の必要条件です。

相手の「観ているもの」や「意図」を意に介さない時点で、コミュニケーションは成立しないと理解することが大切です。従って、コミュニケーションを成立させるためには、お互いに前提としているもの、話題としている対象、価値観などを擦り合わせておく或は擦り合わせていく必要があります。