経営資源によって変わる方法論

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方法論の選択

つい先日、ある上場企業の社長と話をする機会がありました。たまたまある業務の進め方についての話になったのですが、当たり前の話、中小企業とは考え方が異なるところがありました。

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経営資源の充実度で選択される方法は異なる

零細企業、中小企業の方法論

具体的にお話します。

新規事業の立上げ時に、中小企業では、それほど予算が確保できないため、例えば、契約書などを作成する際にも、社内である程度、作成し弁護士に確認・修正依頼をするというのが一般的な流れかと思います。

立ち上げようとする事業の規模次第で、中小企業でも、それなりに予算は確保しているとは思うのですが、なかなか法令遵守コンプライアンスに相応の予算を取るという発想にはなりにくいようです。

例えば、顧問弁護料の延長でやってもらえる範囲内で収めようと考えるのだと思います。

より難易度の高い業務を担わされる

そうすると、大企業よりも人材が揃っているとは言えない中小企業で、より難易度の高い仕事を行う必要が出てきます。状況を精査し、契約書に織り込むべき必要事項を拾い上げ、叩き台を作成するという作業を行わなければならないからです。

大企業の方法論

一方で、くだんの上場企業社長の言は、

弁護士は、いくらでもいるのだから、社内で作る必要はないし、逆に社内で作れば、無駄なコストにもなる。そんなものは弁護士に任せればいい。

となります。

この場合は、恐らく、弁護士が主導で企業側に聞き込みを行い、契約書に盛り込む必要のある事項を整理し、契約書を作成してくれるのでしょう。費用面では大きくなるものの、弁護士が主体となって、契約書を作成してくれます。

勿論、社内に確保している人材の状況次第で、弁護士に依頼する範囲を加減します。後に少し触れるのですが、業種特有の専門性が高く、その専門性を弁護士が把握しきれていないと想定される時には、或る程度、社内の有能な人材に主導権イニシアティブを取らせて遂行した方が良い結果が得られると推察される状況もあり得ます。社内の人材と弁護士の力量によって、望まれる役割分担の形は変わってくるのです。

ここでは、実際に大企業と中小企業の業務の進め方の典型を説明しているわけではありません。お伝えしたいことは、同じ業務を遂行(課題を解決)するに当たっても、その組織が持つ経営資源によって、考える方法、求められる方法、望まれる方法が異なるということです。

選ばないで決めてしまっている現実

今、企業規模で比較してお話しましたが、企業文化によっても変わってくるでしょう。

業務を遂行[課題を解決]するに当たって、意識的に方法を決定しようと思わなかった場合、自ずとひとつの方法が選択されてしまうのです。言い換えれば、自分たちにとって今、一番相応しい方法は何であろうかと自問することで、他の選択肢を勘案することが出来るということです。

先ほどの具体例で言いますと、中小企業であれば、新規事業の予算から、弁護士に契約書作成を依頼する選択肢も、考えられるということです。そして、知識経験がない従業員に不出来なものを無理やり捻出させても無駄で、費用対効果として望ましくないという判断も有り得ます。

他の例では、上場に準ずるような企業でのお話です。ウェブサイトの作成で、記事執筆の外注を途中から止めました。それは、術語テクニカルタームが専門的過ぎて、社内で再編集(rewriteリライト)が必要になり、外注しても、実質的には自社内でやっているのと同じではないかという声が上がった為です。

ライターが真の専門家ならば、業界の専門書を何冊か読み、予め術語テクニカルタームを押さえるくらいのことはやるでしょう。

ところが、専門用語テクニカルタームの存在を知らないのか、ライティングを日常用語で済ませようとしたのでお払い箱にしたのです。

ライターの交代という選択肢もありましたが、そもそもがあまり一般的な業種では無いことから、ライターの交代にも期待はできないだろうと判断し、内作するという選択肢を採りました。

中小企業では、ウェブサイト制作を社外に丸投げしてしまう例がしばしば見られるのとは対照的です。

出来上がるウェブサイトの品質とどの部分を自社が掴んでいなければならない知識、方法なのかをを見極める目を備えていなければ、良い判断は出来ないでしょう。

安易にウェブサイトの制作を丸投げしてしまうことができるのは、ウェブサイト制作の本質を理解していないからと言っても過言ではありません。製作こそ丸投げしても構いませんが、制作はきちんと関与コミットすべきです。

経営資源の充実と共に方法論は変化

中小企業では、特に経営者が賢くなり、潤沢じゅんたくとは言えない人材を酷使こくし、消耗することなく、業務の核となる部分を管理コントロールしていくことが必要です。

繰り返しになりますが、その時、社内で暗黙のうちに決定されてしまっている方法を見極め、それを再考してみる価値は大いにあるということです。そして、その方法は、自社の持つ経営資源の変化(例えば人材の充実)によって変化していくものなのです。

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