管理職は疲弊していてはいけない|管理職の役割

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疲労困憊してはいけない

20代の頃にIT系の企業で、ソフトウェア開発の会社に勤務しておりました。ソフトウェアシステム開発のプロジェクトマネジャー(プロマネ)らにシステム開発のプロセスや考え方など様々なことを学びました。

当時得た知識が広く応用でき大きな財産となりましたので紹介したいと思います。

システムという言葉自体が、ありとあらゆるものに関わってくる一般的な言葉なので、システムについての考え方は、およそ全ての業種、業務において応用できます。

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ソフトウェア開発のプロマネに学ぶ管理職の役割

プロジェクトマネジャーが忘れてはならないこと

当時、習ったことの一つ、「プロジェクトマネジャーが忘れてはならないこと」をお話しします。

自分を人工にんく計算に入れてはいけない

それはプロジェクトマネジャーは自身を人月にんげつ計算(人工にんく計算)に入れてはいけないということです。

プロジェクトが上手く進まず、納期が遅れ停滞している時、プロジェクトマネジャーは自身が開発に携われば、1人月いちにんげつと計算する衝動に駆られるといいます。ただでさえ遅れている開発プロジェクトですから、1人月でも多く投入したくなるのは明らかです。

しかしながら、自身を1人月に計算してはいけない、開発作業に埋没してはいけないというのです。それは、プロジェクト全体を俯瞰し、把握している存在が無くなることを意味するからです。

プロジェクト全体を俯瞰ふかんするのはプロジェクトマネジャーの責務

例えば、現状に加えて、新たに問題が発生した場合、また、新たなる課題が発生した場合など、適切に判断を下し、対応することが難しくなるからです。そして社内や顧客といったレポートラインに対し、適切な現状報告を行うことが出来なくなってしまうことを意味します。

例えば、増員出来る状況にあったとして、どこにどれだけずつ増員するのが相応ふさわしいかなど、分からなくなってしまいます。

単に人月が足りないのか、スキルが足りないのかなど、状況を逐一把握し、課題設定しそれを解決していくのがプロジェクトマネジャーの役割です。一方で、自身を1人月に計算してしまった時点で、全体をコントロールするための眼が失われてしまうのです。

プロマネに当てはまることは管理職一般にも当てはまる

このことはプロジェクト開発だけに当てはまるわけではありません。

管理職は一連の業務全体を俯瞰し管理するのが責務

管理者、すなわち管理職の役割も同様です。管理職はその管理対象である業務が遂行されやすい環境を整え、とどこおりが有る場合は、その原因を突き止め、解決し、再び業務が円滑に推進されるようにすることが職務です。業務担当者と共に、目の前の業務作業忙殺ぼうさつされてはいけません。

仕事を手伝うのが管理職の仕事ではない

業務担当者が業務を大量に抱え、残業が多くなるような状況であっても、業務を手伝うことが優先される仕事ではありません。業務が大量になり、残業が多くなるメカニズムを解消することが仕事なのです。業務担当者は多くの場合、管理者というよりも一般社員である場合が多いでしょうから、目先の仕事を手伝ってあげた方が喜ぶかもしれません。その方が、一般社員からの管理者への人気も高まるかもしれません。

一方で、業務を大量に抱え、業務担当者と共に管理者が疲労困憊こんぱいし、共倒れになるかもしれません。また、そのような忙殺され、疲労困憊する状況が長く続くことで、病気になったり、仕事に嫌気が差し、退社してしまうかもしれません。

管理職の役割

管理者がしなければならないことは、滞りなく業務が進むよう環境を整えることですから、増員や応援を要請することや業務フローを見直し、業務分担の変更を行う、それが他部署にまたがる場合には調整するなどなどです。

管理職の役割は、現場のリードではなく業務の管理

作業一般より高い付加価値が求められる

管理者の業務は、作業ではなく企画、創造、調整などですから、疲労困憊した状態では満足に遂行できません。

一般に管理職が疲弊していてはいけないと言われるのはその為です。作業を一つ手伝うよりも、仕組みを整え、環境を整えることで、その何倍もの付加価値を生み出すのが管理職の役割です。

一般社員にとって、瞬間風速で大量の業務が来て、手に負えなくなる状態を手伝ってくれる管理者より、瞬間風速が来なくなる仕組みを整えてくれる管理者の方が好ましい筈です。瞬間風速で収まればまだよいのですが、それがずっと続くようなことがあれば、退職者が相次ぐなど組織が崩壊してしまうかもしれません。

管理職が本来の業務に携わり、意気揚々と仕事をしていると、一般社員から、私はこんなに忙しいのに・・・などと不満を持たれることもあるでしょう。しかしながら、適切な処置を取り、環境を整えて行けば、結果的には、目先を手伝う以上の理解が得られるものです。

慢性的に業務が多く、一般社員だけでなく、管理者も疲弊している職場はたくさんあります。

私も疲れているんだよ・・・

と管理者が自らこぼしているような職場の状況は恐らくずっと変わりません。

管理者とリーダーの役割は異なる

本質的に、管理者は現場の延長線上のリーダーではなく、管理する人です。

仮にリーダーが管理対象の業務遂行の構成員であるとしても、管理者は業務遂行の構成員ではありません。

従ってここに言うリーダーが管理者を兼任しているのであれば、自身が疲弊しない対策を講じる必要があります。しかしながら、リーダーは業務遂行の先陣を切るのが仕事でしょうから、疲弊しないように動くことで他の構成員から不満が出るでしょう。リーダーの管理者兼任は極めて難しいのです。

(記事 ¶ 店長になれない でも管理職とリーダーとの兼任の難しさについて触れています。)